染色指導-藍を建てる


 
藍の染料として[すくも]を用います。「すくも」はタデ科の蓼藍の葉を幾つもの工程を経て発酵させたものです。「すくも」の染料分はそのままでは水に溶けません。アルカリ性の還元溶液に溶解します。この水に不溶の染料分を水に溶けるようにすることを「建てる」と呼びます。藍を建てるために助剤を使いますが、化学的なものは用いずに昔からのものを用います。[すくも]水溶性にするためのアルカリ剤として木灰汁、石灰を用い、還元には「すくも」に自然に付着している微生物を利用します。微生物が増殖し、活性化することで、染液は還元状態になります。昔から日本各地で行われてきた藍建ての方法です。

材料

すくも:半俵

木灰:20㎏

日本酒 :0.9L

石灰:1.2㎏

ふすま0.3㎏

瓶は島根県来待石産1.5石建

木灰汁を取る

 樽の底にわらをひきます。

 木灰20キロに、熱湯を樽一杯に注ぎ入れ、一日かけて灰汁をとります
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 一番木灰汁、二番木灰汁・・・と取り、一週間かけて必要な量の灰汁を取ります。(一番木灰汁は藍建て後の調整のために、使わずとっておき、二番木灰汁以降から使います。)

藍を建てる

瓶の内側に石灰400グラムを振りまきます。この最初の石灰を元石と呼びます。
石灰は強アルカリですので瓶内の殺菌の効果も期待できます。

 「すくも」を瓶にいれる。

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 前もって沸騰させておいた木灰汁を瓶の半分の高さまで注ぎ込みます。

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竹棒でよく撹拌し、最後に微生物の栄養源として日本酒を入れ初日の作業を終えます。

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 2,3日 早ければ次の日には液の表面に紫色の膜があらわれ、泡(藍の華)があらわれます。アンモニア臭が強く目を刺すような刺激があります。
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 泡(藍の華)がある程度でてきたら、液温位の木灰汁を瓶の4分3まで足し、嵩上げします。発酵が進みますと、急激にアルカリ性が下がりますので、石灰400グラム(中石)投入します。

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さらに1,2日経過すると、発酵が順調なしるしとして、液面は紫色の膜は銀色に光、藍の華は液面を覆おうほど盛んにあらわれ、消えなくなります。

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 木灰汁を加え、石灰(止石)を入れ、さらに微生物の持続的な栄養源としてかゆ状に炊いたふすまを静かに入れ、作業を終えます。
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止石の次の日には染めることが出来、藍建ては完了します。